無言で席を立つ男

正味まったく乗り気ではなかったけれど、バイト先の料理長(男)と飲みに行ったことがある。
どうせ聞きたくもない話聞かされんだろうなと思ってはいたけど、上司だからなんとなく断れない。
案の定、最近別れた元カノの話を延々と話す料理長。酒が入ってるから、夜の話もしてくる。
何を隠そう、その元カノってのはわたしの友達で、もちろんその子からも別れた理由なんて散々聞いていた。ていうか友達と上司がどんなエッチしてたかとか聞きたくねえええ。
そういうことなので、適当に相槌を入れつつ右から左で話を聞いていたら、

料理長が突然無言で立ち上がって、どこかへ消えた。








地元の友達2人と池袋でランチをした。
1人は頻繁に会っている女の子だけど、もう1人の後輩と会うのはかなり久しぶりで、3人集まったのはもうおそらく4年ぶりくらい?もっとかもしれない。
後輩くんは、生まれた時の身体は女なんだけど、心は男。つまり性同一性障害で、まあ要するに男である。
久しぶりに地元の仲良し3人組が集まったもんだから、周りに迷惑なのではと思うほどの大声で笑ったり、最近の話や昔話などをした。わたしたちには先輩も後輩もないのだ。
地元が同じだから笑いのツボも同じなのか、1人が笑うとみんなが笑う。なんで自分が笑っているのかも忘れて笑い転げていたら、

後輩くんが突然無言で立ち上がって、どこかへ消えた。







わたしは思う。

どうして彼らは突然思い出したかのように無言で席を立ち上がるのか。

今までの会話の流れや空気感をぶった切る、圧倒的スタンダップの風圧。

ただ一言


「便所行ってくる」


を添えてくれれば

一々ビビらずに済むのに。。