地下倉庫

地下の倉庫です。

#015 / よかった。

私はケーキ好きじゃないし全然食べたくないんだけど、祝い事にはケーキを食べなきゃいけないって思う。

昔クリスマスにすごく辛いことがあって、約束してたケーキが食べられなくなって、泣きながら1人でコンビニのケーキ食べたことがある。
それからは、お祝い事の時には誰かとケーキ食べないと安心できない。

今日冷蔵庫開けたら、ケーキが入ってた。
私が誕生日だから。
彼氏が買ってきてくれてた。安心した。

昔の私の頭をよしよししてくれた感じ。
今幸せだ、よかった。

#014 / 世の中のあらゆることが気になる

夜間押しボタン式
夜間って何時から何時やねん。

茶色
お茶といえば緑茶じゃない?
「緑色のお茶」と名がつくマイナーポジションなのか?
緑が茶色なるべきだったんじゃない?


駅のコンコースによく埃の塊が転がっているけど、あいつ自殺願望強すぎでは?
互いに結びついて塊になったことにより可視化され、掃除される率が高まるのでは?
粉塵形態よりもお掃除しやすくて、人間に親切すぎでは?



おわり

#013 / 境界

音楽をジャンルで分けるっていう発想に至った人、すげえな。

構成楽器の傾向とかじゃなく、

曲の傾向で仕分けるのって、どうやったんだろう。

テクニカルな分類ではなく、

「明るくカラフルなメロディーが特徴的」とか

それは受け取り手に寄るやん?

カラフルかどうかとか、特に。

自分は「同じジャンルです」と言われても

全く別のなにかに感じる自信しかない。


冷静に考えてみれば、色もそうかもしれん。

黄色に少しずつ赤を混ぜていったら

私やあなたはどこから「黄色じゃなくなった」と言うのか。

もしこの世に「黄色」という言葉が存在しなかったら

私は最初の赤が混ざった時点で

「あの、さっきと色変わってますけど…」

って言うと思う。

でも先人は、それが「別の色」という認識に変わるまでの範囲を

「黄色」と名付けたのだろう。


うーーむ。

そうなのか?



おわり

#012 / 白いライオン

夢の中で、二頭の巨大な白いライオンを見た。

イオンにつづく高洲の交差点付近にいた。

片方はトラックほど大きく、

もう片方は大きめの象ほど大きく、

何より、顔が真実の口ほど巨大だった。

母親と二人、見ていた。

不思議で素敵な夢だった。



おわり

#011 / 数字

自分は3月14日生まれなので

3や14という数字に少し親近感が湧く。


3月12日生まれの方は

12月3日に

「あ、自分と逆の日だ」

そんなことを思うのだろうか。


そうなのだとしても、それは

一生私が味わうことのない感覚だなあ。


ふと、そんなことを考えた。



おわり

#010 / 無罪

罪とは、被害が生じて初めて罪になるのではないかと思う。

例えば、あなたが職場の子のおしりを触ったとして、その子が「セクハラを受けた」と思ったらあなたはセクハラをしたことになるし、その子が「やった~おしり触られちゃった♪」と思ったらあなたはセクハラを働いていないことになる。
極端な話をしました。


18の頃、私もよくおしりを触られていました。
バイト先の料理長をはじめとした、男性店員のみなさんから。
まあ触るといっても「ウェイ!」とタッチされるだけですが。

バイトは飲食店の厨房だったので、お客さんからは見えません。
音楽を流したり、たまにお酒を飲んだりして、みんな結構好き勝手やっていました(今考えるとどうかと思いますが)。
「ナタへのおしりタッチ」は、そんな中で生まれた一種の文化でした。なんでやねん。

私の他にもう一人、おしりを触られがちな人がいました。
同じ厨房のナルさんです。男性です。
バンドマンで、茶髪パーマが印象的なサブカル系の見た目で、中身はちょっとサイコパス系のお兄さんでした。

でも別に、私もナルさんも「セクハラ」を受けていたわけではないので、私たちの店にセクハラはありませんでした。
おしりタッチは、挨拶みたいなもんでした。


そんなある日、店長と休憩が被りました。
店長は、台湾ハーフのアジア美女でしたが、性格が壊滅的でした。
嫌いな人が作った賄いを、一口も食べずにゴミ箱へ捨てたり。死ぬほど陰口を言ったり。

でもなぜか、私は店長から気に入られていました。
「ナタ氏~可愛いね~~」と、よく髪の毛を勝手に結ばれたりしていました。
店長だけが唯一、男連中に混ざって私のおしりをタッチしていました。

でも、その日の休憩は、それだけに留まりませんでした。
アホほど狭いバックヤードで身を寄せ合いながら賄いを食べた後、店長は私の肩でスヤスヤと寝始めたのです。
対人潔癖症気味の私は髪の毛が苦手なので、(うお~この状況最悪だけど、店長を起こすわけには…)と我慢していました。
暫くしたら、店長が起きて、私にキスをしてきました。

(ん???店長ってそっちか???)
(え~~気まずっ!!かなり気まずい!!)

何も言えずに店長をガン見していると、店長はまたスヤスヤと寝始めました。


休憩が終わり厨房へ戻ってからも、どことなく気まずかったのですが、(まあ、キスされただけだしいっか~)と私はすぐに通常運転を再開しました。

しかし、です。


その頃私は、毛先側半分だけ緑色という変な髪だったのですが、ある日の出勤時、突然店長の髪も全く同じように染まっていたのです。

「ナタ氏とお揃っちした~」

店長はニコニコしていました。
まあ私の髪色可愛いからな。真似したきゃしてくれ。
そんな風に思っていました。


私の緑色が抜け、次は赤のハーフカラーでメッシュも入れました(モモタロスになりたかった)。

そしてその翌週。
店長も全く同じ髪色になっていたのです。


これには、店中がざわつきました。

私もさすがに気まずくて、おしり仲間のナルさんに全てを言ってしまいました。

「え、キスされたの?ナタちゃん彼氏いるのに?それはセクハラだねえ」
「え」
「俺は、店長ってナタちゃんのこと好きなのかな~って思ってたよ。ナタちゃんもそう思うでしょ?」
「やっぱそうなんですかね」
「普通、好きだからって、彼氏持ちの子にキスしちゃダメでしょ」
「たしかにすぎて蟹になりました」
「ナタちゃん、相手が『店長』で『女』だから、やめてくださいって言えないんじゃない?どうせ『ただのじゃれ合いじゃん~』って言われるって思ってない?」
「思ってます。男たちがナルさんのおしり触るのと同じでしょって言われると思ってます。なんなら、ナタちゃんもおしり触られてるじゃん~それはいいの~?って言われると思ってます」


一通りナルさんに相談したあと、「次にキスされそうになったらちゃんと拒否する」と約束しました。
店長が本当に私のことを好いていてくれていたら、なんか申し訳ないし。
すまんが、その時は彼氏に一途だったので。


でも、その後店長からのスキンシップはパッタリとなくなりました。
暫くして、店長はどこかへ異動してしまいました。
ああ、ナルさんが料理長に話したんだなと、そう思いました(料理長は私のことを我が子のように可愛がってくれていたため)。



それから約9年が経った昨日。
久しぶりに新宿駅の西側をブラブラしていると、ものすごく店長に似た人を見かけました。
切れ長の目に、爬虫類みたいに大きな口、骨格はモデルみたいで、やっぱり美人でした。
多分本物の店長だ。実家が新宿にあるって言ってたし。

私はもう派手髪じゃないし、向こうは気づいてないだろうけど。
ああ、幸せにやってくれ。
別に、うちの店にセクハラはなかったよ、店長。



おわり